『テレビ局統合で、地方テレビ放送局再編への布石か』 !! (・_・;)
ここ10数年以上も前からではあるが、若年層に於けるテレビの視聴率がかなり低下をしている。特にメディアでも動画配信とか言ったサイトが多く成って選択肢が拡がり、それに連動するかの様に、従来のテレビによる視聴に飽き足らないとされている若年層を中心にテレビ離れが目立っていると言う。その中で特に風当たりが一段と厳しいのが、民間放送業界と言える。NHKの場合は、公共放送の立場であるが故、受信料と言うのが存在する。いわば民間放送で言えば、企業媒体からの広告収入に当たり。しかも公共的立場での放送との観点から、各世帯からの受信料で以って経営が成り立ち、全国あまねなく各都道府県の人口区分に関係なく放送が視聴出来る。これに対して民間放送の場合は、前出の通り、コマーシャル放映権料の他、系列の大手新聞社の他、地元資本の出資で以って運営されている。しかし実際に民間放送を開局すると相成った場合、系列や出資比率や運営方法、人口区分の割合の影響が大きく左右される。昭和の終わり頃には、一時地域放送格差解消との事で、一県辺りに民放局を3~4局化する計画の時期もあった。当時、大都市圏が5局、地方中核都市圏が4局、他が2局と固定されていた事から、視聴したい系列の番組が見られないといった地域住民からの要望に応えるため、当時の郵政省(現 総務省)が民放局の多局化を推奨していた。しかしその時期から既に40数年が経過し、状況は変わって来た。動画サイトでのテレビ放送の視聴が出来る他、現在のテレビを視聴するだけの視聴者側からのテレビに対する魅力が低下しつつある事が見え隠れしている。その様な状況下、昨年11月29日、日本テレビホールディングスが、系列局である「札幌テレビ(札幌市)」「中京テレビ(名古屋市)」「読売テレビ(大阪市)」「福岡放送(福岡市)」の4社が、新年度の今年04月から持ち株会社の元で経営統合すると発表したと言う。4社は、持ち株会社である『読売中京FSホールディングス』を設立して、それぞれが完全子会社として、傘下に入る形で経営統合すると言う事である。このうち、日本テレビホールディングスが持ち株会社の株式の、20%以上を保有すると言う事の様だ。4社は経営統合に因ってコストの効率化を進める他、共同での番組制作や放送設備の共用、人事交流の促進や採用活動での連携等に取り組んで行くと言う事を示している。今回の経営統合の発表の狙いについて、日本テレビホールディングス側は「国内の人口減少やメディアが多様化する中、4社は持ち株会社の元で経営基盤を安定させ、将来に渡って良質な情報かつ豊かな娯楽を安定的に視聴者に提供し、地域社会に貢献すると言う社会的責務を果たして行く決断をした」とこの様に説明をしている。今回の発表で、経営統合に参加した。4社のテレビ局の胸の内であるが、札幌テレビは「ホールディングスが発足した後も、北海道の中核メディアとしての札幌テレビの役割は変わらず、これまで通り北海道の皆様に地域の情報を発信し、地域社会の発展や活性化に貢献していきます」とこの様にコメントした。中京テレビは「民間放送事業者を取り巻く経営環境は人口減少やライフスタイルの変化等で急激に厳しさを増している。この様な状況の中で4社はそれぞれの個性を活かしながら、スケールメリットの拡大やコストの効率化を進め経営基盤の安定を図ります」と語り、その上で「新規ビジネスへの積極投資や海外ビジネス展開等に因り、エリアやテレビの枠を超えた事業拡大と持続的成長を追求する」と語っている。具体的には、レギュラー新番組・共同制作番組の開発や放送に関する基幹システムの共通化や、人事交流の促進や採用活動での連携等に取り組むと発表し、今後、中京テレビでは今回の経営統合に関する臨時株主総会を開催する予定だと言う。読売テレビは「引き続き、地域情報を発信する中核企業として地方創生に取り組み、北海道、東海、関西、北部九州や内外の文化的、経済的交流を積極的に促進し、地域社会の発展や活性化に貢献する」と語っている。福岡放送は「これまで通り、地元、福岡・佐賀の情報を発信する中核企業としての事業を継続し、地域社会の発展に貢献します」と語っている。今回の一連の動きであるが、同一系列の基幹局同士、且つ広域圏の放送局を複数、持ち株会社の傘下に収める形での経営統合は、国内では初めてのケースとなる。だがその裏には、人口減少やテレビ離れによる広告収入の漸減等、民間放送取り巻く環境が一段と厳しさを増し、系列の地方局は苦境に陥っている。その再編が遂に幕を開けた形と成った様だ。今回は日本テレビ系列を舞台にした再編計画であるが、これが他の系列にも波及する可能性は十分に有り得る事だろう。現在国内には、日本テレビ系列の他に、TBS系列、フジテレビ系列、テレビ朝日系列、テレビ東京系列と地上波5系列がある。これらはいずれも大手新聞社がバックアップしていて、毎日新聞(TBS系列)、サンケイ新聞(フジ系列)、讀賣新聞(日テレ系列)、朝日新聞(テレ朝系列)、日本経済新聞(テレ東系列)と大手新聞会社がこれまで通り、テレビ局の新規開局にはバックボーンの形で関与し、系列局としての威厳性を高めていた。しかし団塊の世代の大量退職、人口減少等で、紙媒体による新聞購読量は大幅に低下。しかもマスメディアの多様化も加わって、庶民の昭和の時代の様なテレビやラジオ一辺倒の時代では無くなってしまった事は紛れもない事実であり、嘗ての様な手法ではもう限界に来ていると言わざるを得ない状況に成っている。「今年から来年にかけて、地方局が幾つか消滅するかもしれない」昨春、放送業界の事情に詳しい関係者はこの様に語り、地方局の再編について仄めかしていた。関係者に因れば、地方銀行の再編を陰に陽に推し進めていた金融庁とは違い、「総務省はこれまで基本的にテレビ局任せで、自ら動こうとはしなかった」と言うのだ。しかしコロナ禍に加え、広告がインターネットに流れる等売り上げが軒並み低迷している地方局の苦境を目の当たりにし、「流石に動かないと拙いと考え、水面下で再編に向けて重い腰を上げた」と明かす。こうした動きと軌を一にして、日本テレビHDが動いたと言う訳だ。長きにわたって「メディアの覇者」として君臨してきたテレビ業界。しかし、その栄光の時代は、確実に過去のものに成りつつあると言っても過言ではない。令和02(2020)年度の日本の広告総額費は6兆1600億円を占め、その中でのインターネット広告が2兆2290億円を占め、初めて第1位を獲得した。嘗ての王者、地上テレビ広告は1兆8949億円で第2位に。翌 03(2021)年度は、インターネット広告費が、マスメディア4媒体(新聞・テレビ・ラジオ・雑誌)の総広告費をも上回る結果と成った。更に同04(2022)年度に至っては、広告費総額が過去最高の7兆1021億円となる中で、インターネット広告は3兆912億円。勿論揺るぎのない堂々の第1位で、令和元(2019)年から数えて僅か3年で1兆円の上積みに成功している。これに対してテレビ広告費は前年よりは回復したものの、1兆8019億円に留まり、嘗ての「2兆円産業」の面影は最早跡形もない。メディアの覇者は、テレビからインターネットに明らかに取って代わり、「汎テレビ」時代から「汎インターネット」時代と成ったと言える。テレビは「メディアの覇者」の座からは滑り落ちたものの、相も変わらず2兆円近くの広告費は稼いでいる訳ではあるが、突然、奈落の底に落ちて行く訳ではない。但し、これまでの様に安泰かと言えば、そう言う訳には行かない様だ。例えば、令和02(2020)年度の民放決算では、地上民放127社中、20社が最終損益で赤字を計上している。内訳は系列地方局が16社、独立U局が4社。翌 03(2021)年度決算では、民放各局とも売り上げを前年より伸ばして、赤字局は系列局で11局と、若干回復したものの、翌 04(2022)年度の赤字局も計20社で、テレビ局経営の現在位置は、長く続いた安定期の終盤に差し迫っているのかも知れない。少子化の波は、今後テレビ局の経営にも容赦なく襲い掛り、今後10年後の令和12(2030)年代以降には、不振の地方局から再編の動きが始まり、「1局2波」「1エリア3局体制」等、様々な形で起こり得る可能性を孕んでいる。そして地方から始まった再編の動きは、同 22(2040)年代以降には、キー局をも飲み込んで行く事にも成りそうだ。何れにしてもテレビ業界の幕藩体制とも言われていた。現在のテレビ業界に於ける構造体制。今回の一件は今後大きな変化を齎す一石を投じる事に成りそうだ...。
(遂に動き出し始めたテレビ局の再編。現状の危機感に対応するため、日本テレビ系列が居の一番に発表した。キー局を中心にネット系列の地方局へ波及する事が考えられる。)
(ネット系列に所属している地方テレビ局は、マスター局からの配信で以って、国内全てで視聴出来る様になっている。このためローカル局の間では、自社制作の番組とかの製作率は低いのが現状だ。)
(テレビ局の基本的な収益構造は、番組を提供してくれる広告主からの広告料金で基本的な番組制作費をカバーし、スポット広告で追加の利益を得ていくというイメージになる。いわゆるネットワークの分配金が地方局存続の生命線成っている。 )
(テレビ局の生死のカギを握っている視聴率だが、この数字は年々低下が進んでいる。これは関東地区に於ける総世帯視聴率(06時~24時)は、平成02(1990)年代には、50%近くだった事もあるが、現在では40%台をも割る、ギリギリの水準と成ってしまっている。)
(キー局とネット系列地方局の現状がこれからも読み取れる通り、地方局に於ける自社制作の番組は、相対的に10%程度に留まっているのが現状。キー局から番組を買うか貰うかで経費を抑えているのが現状。昨今、キー局で製作した番組が動画配信サイトに出されると、地方局は不要と成り、視聴者が減る懸念からテレビ局側はネット対応に反発している。)
(メディアの多様化が拍車を掛け、若年層を中心に視聴率の低下に益々の拍車が掛かる傾向が…。)
(これまで民間放送局の鉄壁と言われて来た、広告主、テレビ局、視聴者との構造。だが、広告収入の減少と共に、このカラクリが一歩間違えば、崩壊の綻びを辿る事になる。)
(現時点での、系列テレビ局のネットワーク網。これが今後、地方局再編の事態が発生した場合は、クロスネットに至る可能性も起こり得る。今回の動きを皮切りに他の系列局への波及も免れないのか…。)
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JG7MER / Ackee
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