『消えゆく、JR各社新幹線公衆電話』 !! (・_・;)
ここ最近、街中から公衆電話が減っている。街中で公衆電話を見つける事自体、中々難しく成って来たご時世であるが、そんな状況の中でJR東日本、JR東海等の5社は先般03月18日付けでの共同発表で、新幹線の公衆電話サービスを終了すると発表した。今般06月07日から順次使えなくなり、06月30日を以って新幹線公衆電話サービスはその役割をに終える事になる。新幹線の公衆電話サービスは昭和39(1964)年、東海道新幹線が開業した翌年の昭和40(1965)年から始まった。JR東海によると、平成23(2011)年度の利用実績は1列車当たり1.5件、令和元(2019)年度は0.2件となり、8年間で9割近くも減少してしまった。新幹線に公衆電話が残っていた事自体、驚きかも知れない。20年から30年程前は、新幹線だけではなく多くの在来線特急や、普通列車グリーン車にも公衆電話が設置され、利用されていた。街中の公衆電話が減ったのも、在来線特急の公衆電話が消えたのも、新幹線の公衆電話サービスが終了する事に成った理由は、言わば携帯電話が普及したからである。但し、新幹線の公衆電話サービスは在来線特急等と大きな違いがあった。それは新幹線の公衆電話の大きな特徴として、電話を掛けたい相手の乗車する列車が分かっていれば、呼び出して貰えるという「列車着信通話」の仕組みがあった事が挙げられる。後々に普及する、在来線特急の電話にはないサービスであった。まず「107」に電話を掛けて、列車番号と相手の名前を告げ、呼び出して貰うと言うもので、それで相手が電話に出ると言う仕組みだ。東海道・山陽新幹線では初期は電波、後に漏洩同軸ケーブル(LCX)を使用する様になり、同様の方式は他の新幹線にも広がっていった。在来線特急等はNTTドコモの携帯電話や自動車電話などと同じシステムを使用していたのに対し、新幹線はこう言った独自のシステムを採用していた。新幹線公衆電話は、創生期には、ワンコイン100円からスタートし、通話時間に限らず釣り銭無しの仕様だった。その後NTTコミュニケーションズが提供する緑色のテレホンカード専用機の登場で、通話料金は160kmまでの範囲とNTTドコモ携帯電話への通話は、6.5秒から12.5秒まで10円、160km以上の範囲は4.5秒から8.5秒まで10円(いずれも通話可能秒数は時間帯によって異なる)。現在もNTTドコモ以外の携帯電話へは発信出来ない仕様となっている。平成16(2004)年06月までは「107」にダイヤルする事で、オペレーターを通じて新幹線車内の乗客を呼び出し、電話を取り次ぐサービスも行われていた。しかしその頃になると、時代の入れ替わりとも言うべく、多くの人が携帯電話を持つ様になり、相手を呼び出す必要性が無くなってしまったからだ。その後も車内の公衆電話サービスは続いていたものの、掛けるだけなので、携帯電話の普及と共に利用する人は次第に減って行った。しかも各新幹線ではその後、トンネル内でも携帯電話やWi-Fiが繋がる様に、改良工事が施されたため、電話サービスの必要性は次第に無くなっていった。そして今年06月07日以降からは、新幹線公衆電話撤去が順次始まり、06月30日には全てのサービスを終える事となったのだ。因みに在来線特急等の電話サービスは、NTTドコモの2Gサービスを使用していたため、そのサービスのなくなる平成24(2012)年で既に終了している。列車内の電話サービスは、携帯電話が普及した現状を考えた場合、その一定の役割を終えたと言えそうだ。特に、呼び出しも可能だった新幹線の電話サービスは、列車着信通話こそが最重要サービスだった。忙しい人が乗る新幹線で、連絡を一刻も早く取りたい人が相手として居り、その人を呼び出す事がどうしても必要という意味で、このサービスは存在意義があった。相手を呼び出し、何かを伝えなくてはならない事がある様な人がたくさん乗っている新幹線だからこそ、このサービスは必要と言えた。近年無くなった新幹線のサービスとして、車内の文字ニュースというものがあった。これも、列車内にいる人に最新の情報を届ける必要があったからこそ成り立つサービスだった。しかし、多くの人がスマートフォンのプッシュ通知でニュース速報を知る事が可能になり、それ故に無くなってしまった。呼び出し電話のサービスも全く同じで、多くの人が携帯電話を持つ様になって役割を終えた。その後普通の公衆電話と同様のサービスに成り下がってしまった。嘗てはホテル等でも部屋から電話を掛ける事が出来たが、今は出来ない所が多い。ホテルの部屋を指定して電話を掛ける事も出来なくなってしまったからだ。同じ状況が今度は鉄道でも起こっている。今でも、あえて携帯電話を持たない、というポリシーの人は極稀にいるが、そういった人は「繋がる」事にも拒否感を示しているので、そういう人に対して無理やり「繋げる」必要はないだろう。今や在来線でも車内Wi-Fiがある列車があり、新幹線でもそういったサービスは完備されている。携帯電話の電波が繋がれば4G回線でデータのやり取りも出来るそういった状況の中で、新幹線の公衆電話は、今までよく持ったと言えるのではないだろうか。東海道新幹線開業から、今年で丁度57年目。正に日本の半世紀以上を担ってきた新幹線公衆電話は今年の06月末を以ってその役目に幕を下ろす事になる。いわば昭和の時代の象徴がまたひとつ消えて行く事になる…。(・_・;)
(昭和35(1960)年に電車特急『こだま』『つばめ』に導入されたのが最初である。以降、昭和39(1964)年の東海道新幹線開通と共に一気に範囲が広がり登場した、新幹線専用の公衆電話。その後の街中設置の公衆電話ボックスの設置普及の源になった。)
(開設当初は、10円からスタートし、その後100円も使えるワンコインにも使える様にした。但し、100円分の通話をしなかった場合、残金は戻らないシステムだった。)
(コインレスとして登場したテレフォンカード対応の公衆電話。後に街中の公衆電話ボックスや、エキナカ設置の公衆電話にも普及拡大した。)
(列車電話には、大きく分けて二つの方式があり、一つは、特急等に搭載される自動車・携帯電話システムをそのまま、流用したもの。もう一つは、新幹線に搭載される専用の※LCXシステムと成っている。前者は、長距離 / 高速バスやテレビ局のロケバスなどにも設置され、システム自体は、自動車・携帯電話網(PDC 800MHz)を利用しているだけなので、端末がテレホン・カードに対応する、という違いがあるに過ぎない。しかし、新幹線の列車電話に限っては、専用のシステムな為、従来方式ではアナログかつ、LCXシステムであるため、音声レベルが異様に低かったり、ノイズっぽかったりと欠点があった。しかし、従来のアンテナを用いた方式に比べ不感地帯がないなど、色々面でメリットもある。)
(※…LCX=リーケージ・コアキシャル・ケーブルの略称で、日本語では漏洩同軸ケーブルと呼ぶ。同軸ケーブルの役目は、文字通り同軸構造のシールドにより、インピーダンスを保ったまま、信号を伝送する事。)
(新幹線の車内公衆電話サービス終了のニュースは全国報道でも流された。全ての世代への携帯電話の普及に伴い、半世紀以上に渡ってきた役割も、今般06月30日を以って全て終了する事になる。)
JG7MER / Ackee
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